敷金返還対策(➁)
敷金返還を効果的にするには、引っ越しするまでの事前準備が必要です。
・壁のクロスのめくれの負担は?
壁のクロスがめくれている場合、部屋の占有権を有するのは借主であり、管理権限があります。
経年劣化によりクロスがめくれた場合、入居していた年数によって負担額が変動します。
クロスの経済価値は、2年経過で約7割も減少します。
入居していた年数によってクロスの価値は1円以下となります。
つまり、クロスの借主負担は0円(無料)になることがあります。
そのような場合、原状回復費用としてクロスの張替え費用を大家さんから請求されても、応じる必要などありません。
・壁に空いたくぎ穴は?
クロスにポスター等を掲示した際のくぎ穴等は、画鋲等に比べてキズ跡が深いものです。
キズ跡の範囲も広いため、通常の使用による損耗を超えると判断される可能性があります。
クロスのくぎ跡は、市販のシール材やパテ等を使用して穴を埋め、シール材やパテが乾燥すれば、細い筆でアクリル絵の具を塗れば補修できます。
・煙草のヤニは?
喫煙自体は用法違反、善管注意義務違反でありません。
このため、喫煙後のクロスの手入れをして除去できたヤニは、敷金から控除されることはありません。
しかし、クロスの汚れがひどく、居住としての使用が耐えられないような場合、善管注意義務違反による毀損となる可能性があります。
煙草のヤニによりクロス全体が変色していたり臭いが染みついている場合、クロスの掃除 に手間がかかります。
このような場合、クロスの全面張り替えに要する費用を請求されることがあります。
喫煙するしないは個人の嗜好・趣味の問題であり、個人の私生活に介入されるいわれはありません。
分煙進展が加速しており、公共施設における喫煙場所が制限されるなど、年々喫煙に対して厳しくなっているため、お部屋内の中で喫煙する場合、クロスの清掃をお勧めします。
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written by 行政書士藤井利仁